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【死因は】20年前のO-157食中毒後遺症で女性死亡【食中毒予防対策】

25才女性が20年前の食中毒O-157の影響で死亡

 1996年夏、大阪府堺市の学校給食が原因でO-157の集団感染の被害者となった当時小学1年生だった女性(25歳)が昨秋。亡くなっていたことがわかりました。

 

 被害者の方は、私と同世代なので子どもの時、O-157の話題が世間を騒がせていたのを覚えています。流行語になるくらい、毎日のようにO-157という言葉があふれていました。

 20年もの間、苦しまれていた被害者の方には、同情の念を禁じえません。心からご冥福をお祈りいたします。

 

 女性の死因は、腎血管性高血圧による脳出血だったそうです。

 (参考:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160330-00000090-jij-soci

 最近では、フーズ・フォーラスが運営していた「焼肉酒屋えびす」の集団食中毒事件もありました。

 

 これから夏に向う中で、食中毒の危険が高まっていきます。今回は食中毒の原因と危険性、食中毒対策をまとめてみました。

 

食中毒は意外と危険、近年の大規模食中毒事件と食中毒の原因とは?

 平成に入って発生した大規模食中毒による死者発生事例は、以下の通りです。

 

 平成期以降の大規模食中毒感染事例における死者発生事例

 1996年 岡山県、現瀬戸内市で、児童468人がO-157の食中毒を発症、2人死亡

 1996年 大阪府堺市で、学校給食から児童7996人がO-157を発症、3人死亡(今回の方で4人目)

 2002年 栃木県宇都宮市内の高齢者施設でO-157を28人が発症、9人死亡

 2011年 「焼肉酒家えびす」で提供されたユッケ等を食べた客117人が腸管出血性大腸菌O111を発症、5人死亡

 2012年 白菜の浅漬けの製造過程で、消毒が不十分だったことによりO-157に汚染され、これを食べた人169人が発症、8人が死亡

 

 このように、食中毒での死者は平成期以降でも多く存在しています。中には、白菜の浅漬けを食べただけでなくなった方もおり、製造者が感染対策を採らなければ、被害者自身が汚染されたものを食べない以外に防ぎようがない事例もあります。

 

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 このように、食中毒は意外と恐ろしいのです。

 

食中毒の年間発症患者数は?

 食中毒の原因は様々ですが、厚生労働省の統計によると、日本で2015年に発生した食中毒による患者は、2万2718人でした。

(出典:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/H27jokyo.xls

 

内、ノロウイルス(ウイルス)によるものが、1万4876人(1位、約65%)

  カンピロバクター(細菌)によるものが、   2089人(2位、約 9%)

  サルモネラ属菌(細菌)によるものが、    1918人(3位、約 8%)

 

  腸管出血性大腸菌類によるものは、      156人(約0.7%)

 

 死者は6人出ていますが、4人は自然毒(フグ毒やトリカブト等)、2人は原因不明となっています。

 このように見ると圧倒的にノロウイルスに感染して食中毒になる方が多いのがわかります。

 

 今回は、食中毒原因の1位であるノロウイルス。感染者は少ないが、死亡する可能性もある怖い腸管出血性大腸菌(O-157,O-111)について詳しく解説します。

 

ノロウイルスの感染経路と対策

感染経路

1.経口感染

 ノロウイルスといえば、牡蠣を生食することで感染するイメージがあるでしょう。牡蠣は、海の中で生活しているので、海の様々な栄養や成分を取り込んだり蓄積します。そんな海の中に、ノロウイルスがあるとプランクトン等他の成分と一緒にノロウイルスを牡蠣が取り込んでしまうため(牡蠣だけでなく二枚貝も含め)、ノロウイルスを含んだ牡蠣を生で食べることにより、経口感染してしまうことがあります。

 経口感染すると人間の中で増殖し、発症。排せつされた下水が、下水処理されるものの、ノロウイルスは生存したまま海へ。その海にいる牡蠣がまた取り込む。といった悪循環によって、人間がノロウイルスに感染するのです。

ノロウイルス - Wikipedia

 

2.空気感染

 ノロウイルスを含む糞便や吐瀉物からも感染することがあり、飛沫等を吸い込むことで空気感染する場合がある。

 

症状

 主な症状は、嘔吐と下痢、発熱。特に嘔吐と下痢は、ノロウイルスのイメージが強いが、風と間違われるほど症状が少ない場合もある。この場合、感染者がノロウイルスを知らぬまにまき散らしている恐れもあるので注意すべき。感染から発症まで12~72時間の潜伏期間があるとされています。高齢者や子どもが、吐瀉物を詰まらせるなどの例を除けばほとんど死亡には至りませんが、有効な治療法はなく、数日間耐えるしかないのが現状です。

 

対策

1.加熱

 ノロウイルスの弱点は、熱。

 『85℃以上の加熱を1分以上』行えばノロウイルスの感染力がなくなる。この際、中心部までしっかり加熱する必要がある。

 

2.消毒

 ノロウイルスがどこに浮遊しているかわからないため、自分の手についたノロウイルスから自分の身体に入れないよう、手洗いを徹底することが大切である。

 また、食品にノロウイルスが付着した場合、まな板等から他の食器に付着する恐れがあるので、塩素系漂白剤で洗浄することも大切である。

 

3.手を触れない

 ノロウイルスにが付着していると思われるものにできるだけ触れない。触れる場合には、直接触れないようにすることが大切である。

 

腸管出血性大腸菌(O-111又はO-157)の感染経路と対策

概要

 腸管出血性大腸菌は、家畜の腸を住処とし、糞便に排出されます。

 O-111は、O抗原が111番の大腸菌をいい

 O-157は、O抗原が157番の大腸菌をいう。

 

感染経路

 ともに、菌の付着した家畜の肉や野菜等の食品、家畜や人の糞便に触れたり、菌を吸い込むことにより発症します。

 O-111、O-157は100個程度という少ない菌の摂取でも発症することが特徴で、容易に2次感染が広がります。

 

症状

 感染すると、ベロ毒素を作りだし、このベロ毒素が体内で蛋白質の合成を阻害します。蛋白が欠乏すると、細胞が次々死滅していくため、感染後血便が出たり、激しい腹痛に襲われます。

 ベロ毒素は、血液にも取り込まれるので。血球や腎臓の細胞も破壊し、溶血性尿毒症症候群(急性腎不全・溶血性貧血)急性脳症などを発症し、命にかかわったり、後遺症が残ったりすることがある。

ベロ毒素 - Wikipedia

 

対策

1.下痢止めや痛み止めは厳禁。病院へ

 O-111、O-157は、ベロ毒素を出し重篤な症状をもたらすので、下痢止めを飲んでしまうと体外にベロ毒素が排出されなくなってしまう恐れがあり危険です。痛み止めにも、そのような効能を持つものがありますから、自己判断はせず、すぐに病院へ行き医師の適切な指導、診断をすぐに受けてください。

 

2.加熱 O-111、O-157も熱に弱い

 とにかく、十分に加熱してください。『中心部を75℃以上で1分以上』加熱しましょう。特に高齢者、子ども、抵抗力の低い人は、生を避け、加熱処理することが大切です

 

3.消毒

 菌がどこに浮遊しているかわからないため、自分の手についた菌から自分の身体に入れないよう、手洗いを徹底することが大切である。

また、食品に付着した場合、まな板等から他の食器に付着する恐れがあるので、塩素系漂白剤等で洗浄することも大切である。

 

4.手を触れない

 菌が付着していると思われるものにできるだけ触れない。触れる場合には、直接触れないようにすることが大切である。

 

 

 このように見ていくと、食中毒にならないためには、十分な加熱と消毒が重要なことがわかります。おいしいものを安全に食べれるよう、食品の衛生管理に気を付けましょう。